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2010年10月

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遺産分割でもめる原因の一つが、
同居親族など被相続人の財産を生前管理していた人による、
被相続人財産の取り込みです。

ただ取り込みといっても、実際には疑心暗鬼であることも多く
実際には疑念が疑念を生んでいるケースもありますが・・・

被相続人の遺産調査を行う場合には
生前の預金の入出金の確認が欠かせません。

相続税の申告を伴う場合には、
通常5~10年分の預金取引を確認し、
財産の流出や流入について
問題が無いかどうかを確認します。

しかし、相続人が敵対している場合、
財産管理していた相手方が、
被相続人の通帳を持っていて開示してくれないときに、
金融機関に対し、取引履歴の開示を求めることができるのでしょうか?

以前は、金融機関により対応がまちまちであり、
「相続人全員の同意が無いと開示できません」という回答をする
金融機関もありましたが、
平成21年1月に最高裁判例が判例を出しました。
預金取引記録開示請求事件 平成21年01月22日 最高裁判所第一小法廷

この最高裁判例によりますと
預金者が死亡した場合、金融機関は預金契約に基づき
共同相続人のうち一人の請求であっても
その請求が権利の乱用に当たらない限り
取引経過を開示すべきである
としました。

もし金融機関に開示を拒否された場合には
この判例を根拠として開示を求めることができるかと思います。

但し、取引履歴の開示には、思いのほか費用がかかります。
10年分を何口座も取り寄せたらウン十万円の費用を請求されることもあります。
費用の計算の仕方は金融機関すべて横並びではなくそれぞれに違うようです。
地銀や信金などでは無料で出してもらえるところもあります。

ただ実際に被相続人の預金流出が認められたとしても
相手方の口座へ入金されたかどうかは確認することができないですので
結果的に遺産確認や不当利得をめぐって裁判で争うことが多いです。

相続税がかかり、租税回避性が高い場合には
いろいろと税務署に情報提供して、税務調査に入ってもらい
遺産の取り込みを立証してもらうという手段もあります。
相続税が相続人全員にかかる税金であるからこそ使える方法ですね。

勿論追徴税が発生しますが、それ以上に遺産分割による取り分も増えますので
税務調査がウェルカムなこともあるという稀有な例です。
(税務署は嫌がりますが…、適正納税のためにしっかりと働いてもらうのです。)

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10/24の日経新聞に政府税調の検討事項の記事が
一面に出てました。

見出しは
孫への贈与、税優遇拡大
政府税調検討 相続税は引き上げ
となってました。

記事の内容としては、

現行親から子に限定されている
精算課税贈与を孫にも適用できるようにする

相続税は、基礎控除と税率を見直して増税

死亡保険金や死亡退職金の非課税枠の廃止

ということについて、政府税調が検討に入ったというものでした。

政府からすると、

全体の4.2%しか相続税の納税負担率を
10%以上に引き上げたい。

それでも90%近くが相続税かからないのであれば、
相続起きる前に、お金を使わない年寄りの手元に塩漬けにしておかないで
お金のかかる世代に移転してじゃんじゃん使ってもらうことにより需要を喚起したい。

「お金持ちにかかる税金という」イメージの強い相続税を増税することにより
「庶民にかかる税金」というイメージがある消費税の増税議論をする上での
ガス抜きにしたい

という思惑が見え隠れする改正内容です。

いずれにしても相続税については、将来的に増税ということが
既定路線のようですので、基礎控除意識した相続税試算については
税制改革の内容が見えてくるまでは保留にしておいた方が良さそうです。

死亡保険金と死亡退職金の非課税というのは
いわゆる500万円×法定相続人の数という非課税枠のことですが、
節税対策としてかなり普及しているものですので
撤廃となれば、現場では混乱ありそうですね。

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不治の病で回復の見込みが無い時
延命治療を控えまたは中止してもらい
人間としての尊厳を保ちつつしを迎えることを
尊厳死といいます。

尊厳死を望む意思表示をすることを
尊厳死宣言といいます。

遺言の作成と同時に尊厳死宣言をされる方が増えています。

但し、遺言とは死後に効力を発するものですから
尊厳死宣言を、遺言書の中に入れるのには適当でありません。
別途の方法で宣言する必要があります。

尊厳死宣言を公正証書で行う場合には
通常、宣言書を作成して宣誓認証という手続きを取ります。
(1通が公証役場に保管されます)
これは、公証人が面前で本人の真意を確認して作るもので
非常に高い証明力をもつと言えます。
(公証人手数料11000円)

但し、尊厳死宣言があったとしても最終的に延命治療の中止は医師の裁量に
ゆだねられており、尊厳死宣言が受け入れられないこともあります。
日本尊厳死協会
のホームページによると宣言書による医師の尊厳死容認率は93%とあります。

尊厳死のご希望がある場合には、
遺言作成の機会に宣言書の作成も合わせて考えてみられてはいかがでしょうか?

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遺言があったが逆に揉めてしまうケース④

『自筆証書遺言』

遺言を作りたいという相談は、本当に年々増加しています。
ただすべてのおうちにガッチガチの公正証書遺言が必要かといいますと
私はもっと柔軟に考えてもよろしいかとは思います。
信託銀行や弁護士事務所へ相談されますと
まずは公正証書で遺言をという話になりますが、
揉める可能性が少ないのなら自筆証書遺言も十分に使えます。

ただ自筆証書遺言では、揉めてしまった場合に
すぐに訴訟に発展し親族関係はズタズタになってしまい
二度と修復不能となる悲しいケースも起こりえます。

例えば、自筆証書遺言には、「検認」という手続きが必要になります。
以下裁判所HPから引用
----------------------------------------------
 遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。また,封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。
 検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
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相続人は通常この検認の際に初めて遺言内容を知ることになると思いますが、
その遺言内容が納得できないものであったり、
自分に不利な内容であるような場合には、
検認調書作成の際に
 「筆跡が被相続人のものと違う」
 「普段使っていた印鑑で無い」
という主張をして、遺言の有効性が問題になるケースがあります。

そうなりますと、自筆証書遺言の有効性について
裁判にて争うことに発展する場合があります。

また高齢者が作成した遺言については、
作成時の遺言能力があったのかどうかという点で争うこともあります。

京都の有名なかばん屋、一澤帆布が先代の自筆証書遺言の有効性をめぐり
泥沼の争いになって、兄弟と会社がバラバラになってしまったのは
記憶に新しいことかと存じます。

こうしたトラブルは、規模の大小にかかわらず
どこのおうちにも起こりうることです。

公正証書遺言ですと、遺言者本人が公証人に口述して筆記してもらい
立会人が2人もいることから、遺言の有効性は保証されてます。

自筆証書遺言を作ろうと考えられている方は
「とりあえず自筆証書遺言でよいか」というのではなく、
将来トラブルが起きないかどうかをよく考えた方が良さそうです。

事務所看板設置

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近鉄学園前駅からバス通り沿い北へ進んでもらいましたら
ローソンの次にこの看板が立ってます。
もともと「吉村商事」の看板だったところに間借りしました。
これで道からも良く分かるはず。
IMG_6002.jpg
2階の窓にも、事務所の名前貼ってもらいました。
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事務所の入り口が、前まではクリアガラスで中が見えてしまってましたので
スモークのシートと事務所のサインを貼ってもらいました。
これで、はじめてのお客様でも迷わずお越しいただけると思います。

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