遺言執行者の記載
遺言があったが逆に揉めてしまうケース①『遺言執行者が記載されていない場合』
遺言があったが逆に揉めてしまうケースとして、
何回かにわたってシリーズで紹介したいと思います。
第1回目は遺言執行者についてです。
「遺言執行者」といいますと、なかなか聞きなれない言葉ですが、簡単に言うと
遺言書に書かれたとおりに手続きを進めていく人
のことです。
この遺言執行者を遺言の中で指定しておくことができます。
遺言執行者は、誰でもなれます。
例えば、相続人の中で信頼できる人を選んでおくとか、
遺言作成手続きをお願いした、信託銀行や弁護士・税理士などを選ぶこともできます。
この遺言執行者が決まっていない場合に、
手続きを進める上でトラブルが生じるケースがあります。
例えば法定相続人で無い人に財産を「遺贈」する場合などは
財産の名義変更について遺言執行者がいれば遺言執行者の実印と印鑑証明だけで手続きができますが、
遺言執行者がいない場合には相続人全員の実印と印鑑証明が必要になってしまいます。
また預貯金の解約出金についても、
通常金融機関は公正証書遺言で遺言執行者を決めている場合に限り、
遺言執行者の実印と印鑑証明だけで解約出金に同意してくれます。
つまり自筆の場合や遺言執行者が決まってない場合には例え遺言があっても
相続人全員の実印・印鑑証明が無いと
解約出金できないということになってしまいます。
遺言書の中で遺言執行者が定められていない場合に、
相続人全員の協力が得られる場合には問題ないのですが、
そうでない場合には、遺言執行者を家庭裁判所に申し立てて
選んでもらわなければなりません。
また遺言執行者を選ぶ場合にも、自分と同年代の者を選ぶのは要注意です。
相続発生する前に、その執行者は先死亡している場合には
結果、遺言執行者がいない遺言になりますし、
生存していたとしても、万が一認知症を発症しているようなケースの場合には
遺言執行できなくなります。
せっかく作る遺言ですので、遺言執行者をきちんと指定して、
執行の際にトラブルを生じないようにしましょう。
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