遺言があったが逆に揉めてしまうケース④

『自筆証書遺言』

遺言を作りたいという相談は、本当に年々増加しています。
ただすべてのおうちにガッチガチの公正証書遺言が必要かといいますと
私はもっと柔軟に考えてもよろしいかとは思います。
信託銀行や弁護士事務所へ相談されますと
まずは公正証書で遺言をという話になりますが、
揉める可能性が少ないのなら自筆証書遺言も十分に使えます。

ただ自筆証書遺言では、揉めてしまった場合に
すぐに訴訟に発展し親族関係はズタズタになってしまい
二度と修復不能となる悲しいケースも起こりえます。

例えば、自筆証書遺言には、「検認」という手続きが必要になります。
以下裁判所HPから引用
----------------------------------------------
 遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。また,封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。
 検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
----------------------------------------------
相続人は通常この検認の際に初めて遺言内容を知ることになると思いますが、
その遺言内容が納得できないものであったり、
自分に不利な内容であるような場合には、
検認調書作成の際に
 「筆跡が被相続人のものと違う」
 「普段使っていた印鑑で無い」
という主張をして、遺言の有効性が問題になるケースがあります。

そうなりますと、自筆証書遺言の有効性について
裁判にて争うことに発展する場合があります。

また高齢者が作成した遺言については、
作成時の遺言能力があったのかどうかという点で争うこともあります。

京都の有名なかばん屋、一澤帆布が先代の自筆証書遺言の有効性をめぐり
泥沼の争いになって、兄弟と会社がバラバラになってしまったのは
記憶に新しいことかと存じます。

こうしたトラブルは、規模の大小にかかわらず
どこのおうちにも起こりうることです。

公正証書遺言ですと、遺言者本人が公証人に口述して筆記してもらい
立会人が2人もいることから、遺言の有効性は保証されてます。

自筆証書遺言を作ろうと考えられている方は
「とりあえず自筆証書遺言でよいか」というのではなく、
将来トラブルが起きないかどうかをよく考えた方が良さそうです。

事務所看板設置

IMG_6001.jpg
近鉄学園前駅からバス通り沿い北へ進んでもらいましたら
ローソンの次にこの看板が立ってます。
もともと「吉村商事」の看板だったところに間借りしました。
これで道からも良く分かるはず。
IMG_6002.jpg
2階の窓にも、事務所の名前貼ってもらいました。
IMG_6003.jpg
事務所の入り口が、前まではクリアガラスで中が見えてしまってましたので
スモークのシートと事務所のサインを貼ってもらいました。
これで、はじめてのお客様でも迷わずお越しいただけると思います。

遺言があったが逆に揉めてしまうケース③

『不動産の相続登記ができない』

不動産を相続した場合、通常は相続登記をして名義変更を行うのですが、
遺言に記載されている内容だけでは登記ができないケースがあります。
その場合、他の相続人の協力が必要になるケースがあります。

本来、遺言というのは、相続人間で揉めないように作るものですから
相続後に他の相続人の協力を受けるような事態はできるだけ避けるべきです。

実際にあったケースですが、
一筆の田の一部に土を入れて青空駐車場にされている方が
遺言書の中で駐車場部分を妻に
それ以外の部分を長男に
という様に遺言されている方がいました。
(それも公正証書で!)

公証人は、おそらく固定資産税の納付書をみて
田部分と雑種地部分が分かれているので
納付書に従って上記のような遺言を作られたかと思いますし、
勿論遺言としては有効です。

但し、名義変更できるかといえば、すぐにはできません。
まず、田部分と雑種地部分に分筆しなければなりません。
その際に相続人全員の協力が必要になります。

この場合に、土地をもらえなかったことを不満に思っている相続人がいれば
すぐに協力してもらえるでしょうか?

このケースの場合には、配偶者と長男が土地の相続人でしたので
共有で相続するように文言を修正し、
配偶者にも遺言書を作ってもらうことにしました。

母子の共有でしたら、相続により将来的に共有解消できますが
兄弟で共有にして、共有物分割するのは、将来に問題を残す形になりますので、
できれば生前中に分筆を行い、枝番ごとに遺言で相続人を指定する方が無難です。

他にも不動産の相続登記ができないケースとして、例えば

・地番でなく住居表示になっている。(住居表示だと物件の特定ができないケースがある)
・通称で書いてある。(田畑に多い)
・筆界ごとに指定していない。(上の例のケースの他、測量図に朱書きなどで指定してるケース)

などを目にしたことがあります。特に自筆証書遺言に多いです。

また逆に、土地だけ記載していて建物の記載が無い場合には
(未登記建物がある場合で固定資産税が課税されていないような場合によく見かけます)
遺言があったが逆に揉めてしまうケース②
になります。
この場合、「土地の上に存する建物・構築物一切」というような感じで
包括的に記載することが一般的です。

きちんと遺言だけで相続登記ができるようにして、
相続したけど登記ができないというトラブルが無いように
不動産の記載には注意が必要です。

このページのトップヘ

見出し画像
×